「古民家ブーム」に一言

 ブームなのか古民家の売買物件を紹介して欲しい、という依頼を受けることが稀にあります。お話を伺えば購入した古民家にそのまま住むのではなく、手を入れ古民家の風合いを残しつつ冷暖房やキッチンやバストイレなど設備を最新のものにするようです。ただし、天井などを取り払い地松の梁や四寸柱などはインテリアも兼ねて見せるように、とか。
 そうした古民家をリフォームして蘇らせる、という趣旨のテレビ番組が古民家ブームを煽っているようです。しかし好事魔多しと言います。古民家は文字通り「古い民家」で、現在の耐震基準を満たしているとは思えないものばかりですし、購入者も生活スタイルに拘るあまりリフォームに際して耐震構造を取り入れることも殆ど考慮に入れられてないようです。
 それだけではなく、かつて社会問題となったリフォーム会社に一部不心得な業者がいることも事実で、中には建設業許可を得ていないリフォーム会社もあるようです。建設業法で建設業許可がなくても請負うことのできる工事は「軽微な工事」と「附帯工事」に限られています。つまり建築リフォームなどを請負い、施工することも建築業者の許可がなくても可能です。

 この場合の軽微な工事とは2つに分けられます。建築一式工事では工事1件の請負代金の額が税込1,500万円に満たない工事または、延床面積が150㎡に満たない工事とされています。建築一式工事以外の工事(例えば高さ2メートル未満の擁壁工事や造成工事など)では工事1件の請負代金の額がぜ税込み500万円に満たない工事は無許可建設業者でも出来ることになっています。
 ただし、軽微な工事であって建設業許可を取得していない場合は主任技術者を配置する必用はありませんが、軽微な工事であっても、当該業種の建設業許可を取得している場合は、主任技術者を配置する必用があります。つまり建設業者許可業者は主任技術者を現場に配置する義務があります。許可業者の方が安心なのは改めて指摘するまでもありません。
 注意すべきは建設業許可の取得が不要な工事でも、他の法律により行政庁への「登録」が必用な工事がありますので注意が必要です。
1,浄化槽設置をする場合・・・浄化槽工事業登録
2,解体工事を営む場合・・・・解体工事業登録、ただし、建設業許可のうち「土木工事業」「建築工事業」「とび・土工・工事業」の許可を取得している場合は不要です
3,電気工事を行う場合・・・ 電気工事業登録
 古民家ブームの落とし穴に落ちないように、古民家購入に際しては宅建業者にリフォーム計画なども相談して、許可建設業者を紹介してもらうい、耐震構造に改築するなどした方が安心だと思います。まずは古民家ブームに対する老婆心ながら。

2018年05月13日