「特定空家等」に指定される前に

 この7月7日から8日にかけて、山口県東部も過去にないほどの豪雨に見舞われました。そのあおりか、いつも通っている道端の老朽家屋が二軒も崩壊しているのらは驚かされました。いずれも住人のない空家だったらしく、被災者はいなかったようです。
 ただその一軒は崩壊した家屋の材木が県道の一部を塞ぎ、交通に支障が出ていました。このように人が棲まない空家は急速に老朽化し、自然災害で崩壊して類災を及ぼしかねない危険な存在になります。
 こうした中、国により「空家等対策の推進に関する特別措置法」が平成27年5月に全面施行され、空家等の所有者又は管理者は、空家等の適切な管理に努めなければならないこととされました。
ー法に定める適正管理をしていない「空家」とは、
  ・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれがある
  ・そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれがある
  ・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている
  ・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である
 このような状態になると、市町は「特定空家等」と判断し、所有者等に除却、修繕、立木の伐採などを行うよう助言又は指導、勧告及び命令することができます。また、その措置を命じられた所有者等がその措置を履行しない場合、行政代執行により除却などされることとなり、その費用は所有者等に請求されることになります。当然代執行による家屋等の除却は「公共事業」価格となりますが、所有者が請求された除却費に対して異議を差し挟むことは出来ません。
 また空家が市町から「特定空家等」として勧告を受けると、その敷地は固定資産税等の住宅用地特例による税の軽減がされなくなるため結果的に固定資産税が上がることとなります。
 ですから空家が特定空家等に指定される前に適切な管理を行うとともに、今後住む予定がなければ売却・賃貸、除却等の対応を検討しましょう。それは空家に限ったことだけではなく、使用していない田畑や土地などを放置する前に信頼できる不動産屋さんに相談されてはいかがでしょうか。

2018年07月12日